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水戸地方裁判所 昭和48年(わ)89号 判決 1974年7月30日

本籍

茨城県那湊市小川六、三四三番地

住居

同県同市田中町八、〇〇一番地

船舶上架業

井上廣明

大正一四年二月一六日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官矢野光邦出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月および罰金一、二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金三万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、茨城県那湊市小川六、三四三番地において、「土用橋、船舶上架場」という屋号で船舶上架修理業を営むものであるところ、所得税を免れる目的をもつて、売上、たな卸資産の一部を除外し、あるいは仕入、外注工賃その他経費を架空または水増し計上する等の不正な方法により、所得を秘匿したうえ

第一、昭和四四年中における総所得金額が三五、三九八、〇三一円あつたにもかかわらず、昭和四五年三月一六日同県常陸太田市金井町字浜街道南一、六一四番地の三所在の所轄の太田税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一、五二九、七四七円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、正規の所得税額一八、六〇六、一〇〇円と右申告税額一四〇、三〇〇円との差額一八、四六五、八〇〇円を逋脱し

第二、昭和四五年中における総所得金額が一二、三四三、九六七円あつたにもかかわらず、昭和四六年三月一五日、前記太田税務署において、同税務署長に対し、純損失額が一、七八一、二五四円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、正規の所得税額四、六九五、四〇〇円を逋脱し、同年四月二六日、右申告による還付税額五四〇円の還付を受け

第三、昭和四六年中における総所得金額が三二、六九八、七二六円あつたにもかかわらず、昭和四七年三月一五日、前記太田税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が二、八八六、三〇二円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、正規の所得税額一六、〇三四、〇〇〇円と同申告税額三三四、九〇〇円との差額一五、六九九、一〇〇円を逋脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示全般の事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、被告人作成の昭和四七年一〇月九日付、同月二三日付A、同年一一月一三日付C各答申書

一、宇野精の検察官に対する供述調書

一、山戸康一、岡田忠行、井戸川三英、光本雅一、川崎吉則、塩原昭、宇野精(二通)、出村一朗、宮本木材株式会社、中村傅春、湯浅貞雄、武安猛夫、関城瀧七、大曾根六郎、大曾根卯之介、桜井信、秋山俊文、一之瀬鶴吉、楠勇、内藤えい、古野清孝、荒井文次郎、大久保敏雄、鈴木宗夫、広瀬弘、深見重雄、寺田忠男、浅野英次、箱崎道和、渡辺高志、吉川琇三、大森新吉、小沼祥生、西條浩行、藤井守各作成の各答申書

一、田口紀久男、中山清各作成の各供述書

一、太田税務署長および山崎光雄、石川卓、上山信一各作成の各証明書

一、大蔵事務官作成の関東銀行那湊支店、茨城県商工信用組合湊支店、常陽銀行湊支店、同銀行江名支店、常磐相互銀行湊支店、茨城相互銀行湊支店、農林中央金庫水戸店、第一勧業銀行兜町支店各調査関係書類

一、大蔵事務官作成の銀行預金借入金、農林債券等、投資信託各明細表

一、国税査察官作成の昭和四三年、四四年、四五年、四六年貸倒金額調査書および投資信託の収益金明細表調査書

一、須藤玄吉作成の当座預金元帳、別段預金元帳、通知預金記入帳(二通)各写

一、検察事務官作成の電話聴取書

一、押収してある小手帳一冊(昭和四八年押第六六号の四)、コクヨ請求書控八冊(同押号の五)、税金申告関係綴一綴(同押号の一〇)、賃金台帳一冊(同押号の一一)、出勤簿一冊(同押号の一二)、作業日誌一冊(同押号の一三)、受取手形二五枚(同押号の一六)、生命保険関係書綴一綴(同押号の一八)、小手帳一冊(同押号の二〇)

判示第一、第二の各事実につき

一、佐藤三郎、明石正造、安岡恭平、沢田信保、吉田民典(昭和四七年六月一四日付)、根本享晃、植田勝雄、会沢勝美、栗橋与平、高橋三郎、安達勝次郎各作成の各答申書

一、押収してある売掛帳二冊(同押号の三、一四)、コクヨ請求書控七冊(同押号の一五)

判示第一、第三の各事実につき

一、黒沢四郎、飛田正三郎、黒沢清重、小竹森徳太郎、小圷信夫、山形貞一、水野良吉、川上春江、網代幸太郎、大内庄文、宮嶋輝次、郡司捨吉、今福邦男、手戸忠清各作成の各答申書

一、押収してある金銭出納帳一冊(同押号の一)、売上帳一冊(同押号の二)

判示第二、第三の各事実につき

一、野口昭、柿崎衛、奥山茂、北田玉太、大部博、山中顕夫、伊藤喜芳、岡田市太郎、本間正広、林優道、宇留鷲三次郎、葛宇又衡門、桜井勘次、黒滝哲成各作成の各答申書

一、押収してある金銭出納帳一冊(同押号の二二)、売上帳一冊(同押号の二三)、コクヨ請求書控九冊(同押号の二四)、経費明細帳一冊(同押号の二九)、貸倒金メモ一枚(同押号の三〇)、小手帳一冊(同押号の二一)

判示第一の事実につき

一、被告人作成の昭和四七年一〇月二三日付B、同年一一月一三日付A、B、同月一四日付各答申書

一、馬目公章、刈込エイ子、田所寅吉、金井松夫、大平寅夫、黒川寿三、村上好三、西村正八郎、菊本賢、畑岡隆司、佐藤国春、白土栄吉、桐沢誠二、中田廣、江橋茂、林実、小倉幸之介、高橋仲三、小泉義男、渡辺吉郎平、山上喜代蔵、一之瀬四郎、後埜上操、茨城県漁業協同組合連合会、出沼浅吉、西野幸蔵各作成の各答申書

一、国税査察官作成の修正損益計算書(自昭和四四年一月一日至昭和四四年一二月三一日)、昭和四四年売上金額調査書、昭和四四年経費調査書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和四四年一月一日至昭和四四年一二月三一日)ならびに「秋山俊六扱いによる貸付金および受取利息等調」と題する書面

一、押収してある東洋シユリンプ株式会社関係書類一綴(同押号の六)、経費明細帳一冊(同押号の七)、昭和四四年度分請求書納品書綴一綴(同押号の八)、昭和四四年領収書綴(同押号の九)、東洋シユリンプ株式会社債権関係書類一通(同押号の一七)、借用証一枚(同押号の一八)、小手帳一冊(同押号の二一)

判示第二の事実につき

一、被告人作成の昭和四七年一一月一三日付D答申書

一、牧野壮夫、吉田民典(同年九月六日付)、根本隆祐、岡山信雄、桃谷晃、樫村喜一、戸田敬一、和田安弘、幸保武、岩間国明、中村隆志、坂本金寿、菅原勘助、坂本芳郎、中上真佐代、吉崎吉太郎、大内哲雄、今福恒雄、関定蔵、吉田光男、日高直義、圷保寿各作成の各答申書

一、国税査察官作成の修正損益計算書(自昭和四五年一月一日至昭和四五年一二月三一日)、昭和四五年売上金額調査書、昭和四五年経費調査書

一、大蔵事務官作成の昭和四八年一月一〇日付および昭和四九年四月一二日付脱税額計算書(自昭和四五年一月一日至昭和四五年一二月三一日)

一、検察官作成の電話聴取書

一、押収してあるエンタープライズ契約書一綴(同押号の二五)、経費明細帳一冊(同押号の二六)、昭和四五年分請求書納品書綴一綴(同押号の二七)、昭和四五年分領収書綴一綴(同押号の二八)

判示第三の事実につき

一、出頭正、五来靖夫、後藤隆一、山崎吉勝、山本欽司、川上善太郎、政井関三郎、四広傅蔵、岡峯貢、川原啓治、山崎勇、桜井五郎、五来政太郎、今橋照男、森栄吾、大内美智枝、山崎潤一、磯崎進、日土義男、黒沢寅三、米川昇作、日土七郎、馬上実、大内春吉、寺本すみ子、田中弘道、打越映匡、郡司常男、東京東力茨城支店鈴木、横山八郎(二通)各作成の各答申書

一、川村宏作成の証明書

一、国税査察官作成の修正損益計算書(自昭和四六年一月一日至昭和四六年一二月三一日)、昭和四六年分売上金額調査書、昭和四六年経費調査書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和四六年一月一日至昭和四六年一二月三一日)

一、押収してある金銭出納帳一冊(同押号の三二)、売上帳一冊(同押号の三三)、売掛帳一冊(同押号の三四)、コクヨ請求書控八冊(同押号の三五)、昭和四六年分請求書納品書綴一綴(同押号の三六)、昭和四六年分領収書綴一綴(同押号の三七)、賃金台帳一冊(同押号の三八)

(法令の適用)

被告人の判示所得税不正逋脱および同不正受還付の各所為はいずれも所得税法第二三八条第一項に該当するが、判示第二の所得税不正逋脱と同不正受還付は一個の行為で数個の罪名に触れる場合であるから刑法第五四条第一項前段、第一〇条により犯情重い所得税不正逋脱の罪の刑で処断することとし、判示第一ないし第三につきいずれも所得税法第二三八条第一項後段により同項前段所定の懲役と罰金(なお判示第一および第三については同条第二項を適用)を併科するを相当と認め、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから懲役刑については同法第四七条本文、第一〇条により最も犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法第四八条第二項により各罪所定の罰金を合算し、その刑期および金額の範囲内で被告人を懲役六月および罰金一、二〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは同法第一八条により金三万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法第二五条第一項を適用してこの裁判の確定した日から四年間右懲役刑の執行を猶予し、訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条審第一項本文に則り全部これを被告人に負担させることとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 佐野精孝)

右は謄本である。

昭和四九年九月五日

水戸地方検察庁

検察事務官 小島栄也

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